akimof の日記

酔いどれアキモフは、電気羊の夢を見るか?

人を解雇する仕事だけど、なにか?

もう時効だと思うので書いてみよう。

30年くらい勤務した前職において、大きな仕事のひとつに仲間の解雇という作業があった。たまたま自分が役員に昇格したため、経営者側の人間ということで、最後通牒を告げる役目が回ってきたのだ。ひとりひとり個室に呼び出して、会社の現状や向かうところの方向、業績の説明をしながら、「残念ながらあなたに辞めてもらいたい」という言葉を告げた。6人ほど解雇した。その彼らとは、30年ほど共に働いてきた、いわゆる先輩、同僚という間柄だった。

人が人の生活や人生設計を左右する立場になるということは、目覚めのいいものではない。狭い密室で向き合う二人。呆然として言葉を失う者、怨嗟の念にとらわれる者、苦痛に耐えかねて震える者…。自分で作った会社の最高責任者ならまだしも、雇われ役員として引導を渡す仕事をやっていて浮かんでいたことは、彼らの苦しみのエントロピーが<因果応報>ともいうべき形で自分に降り掛かってくるだろうなということだ。そしてそのことは現実となった。

会社の役員ということは、従業員とは違って、いったん会社を辞めて役員待遇として委任契約を結ぶことだ。企業に雇用されるのではなく、委任される。

正直なところ、自分で役員として生きながらえるために、委任されるように動くこともできたと思う。もちろん誰からも、辞めろと言われることはなかった。ただ、自分自身の心の中で因果応報ではないけれど、人の人生を左右し、解雇してきたという<しこり>がムクムクと頭をもたげ、もうこの会社にはいられないような気分になってきた。

ウブな人生かもしれない。高額な報酬を放棄することになって、家族の人生を犠牲にすることになってしまうわけだから酷い選択だったに違いない。金銭的には喧嘩の絶えない家族になった。

ただひとつ思うのは、僕が狭い空間で向き合った人々は、もっと困った人生を送って行っただろうということだ。それに比べたら、まだ楽な人生じゃないだろうか。もちろん、自分が解雇した他人の状況なんて、誰にも分からないことだけどね。