akimof の日記

酔いどれアキモフは、電気羊の夢を見るか?

知的障害者がうつ病を治療する、かもしれない

うつ病の特集をNHKがやっていた。憂鬱な話を標榜している日記としては、少し書いおきたいことがある。

うつ病は脳の扁桃体が引き起こす。我々の進化の過程で訪れた「天敵、孤独、記憶、言語」などの要因が扁桃体を刺激し、ストレスを溜め込むようになってから、うつが発生するようになったという。人類は、文明社会になってから以降、持てる者と持たざる者を生み、格差や貧富に苦しむ社会を作り上げてきた。番組は、この扁桃体が刺激されて生み出されるストレスの蓄積がうつ病を発症させた原因であるという内容だった。そして、最新の研究を元にした先端医療をもって脳の扁桃体を刺激する手術方法と、狩猟民族などの平等社会を模した生活ぶりを行動に取り入れるという、ふたつの療法が紹介されていた。

番組内でうつ病で苦しむ青年が紹介されていた。彼の選択した療法は、天敵にさらされずに孤独から遠くなるようにして毎日を生活するというものだ。狩猟民族のように、朝早く起きて夜はきちんと眠る。毎日、歩くこと走ることを欠かせない。仲間と狩りで得た獲物をシェアするように、仕事でもそれを意識できる職につく。そうやってうつ病から快復していこうとしていた。

彼がうつ病になったのは、IT企業でストレスの多い日々を過ごしていたから。そして会社を辞め、数年間のあいだ苦しんだあげく選んだ仕事というのにちょっと驚いた。

福祉施設なのだ。それも、番組ではキチンと紹介してはいなかったけれど、その福祉施設とは知的障害者の作業施設だったのだ。驚いたと同時に、腑に落ちた。

知的障害者の福祉作業所というところは、その利用者たちと触れ合う事でいわゆる孤独から無縁になる。嫌な上司や顧客といった目立った天敵はいない、記憶や言語がままならない相手が多いので、ある意味コミュニケーションの煩わしさも無効にしてしまう。もしかして、うつ病の治療にはもってこいの職場なのかもしれない。

障害者をケアしながら共に作業する施設においては、健常であるスタッフが一方通行で彼らにほどこしを行っているわけではないのだ。実は、彼らからも多くのものを貰っているはずであり、ただ目に見えてわかりにくいというだけなのだ。もちろん、うつ病の人すべてに言える事ではないかもしれないが、こういった仕事に従事することで、人としての原初的な何かを得る事はあると思う。そして、シェアや助けあいの精神を感じることで、少しずつ病気を回復していく人がいるのは、本当に腑に落ちる話だった。