akimof の日記

酔いどれアキモフは、電気羊の夢を見るか?

いっそ50年でミッキーマウスも引退して

 

TPP交渉では農産物だけが話題になっている感がある。

さまざまなジャンルで流通障壁を撤廃し、加盟国の利益を共通化していこうという趣旨でTPPは始まった。けれど、こういった場は、発言力や財力や地位などに裏打ちされた強い者が支配してしまうことは、われわれの日常の会議をみていてもわかる。

 

個人的に興味があるのは、「ミッキーマウス保護法」と揶揄される著作権の保護期間の問題。欧米では作者の死後70年が保護期間であり、対して日本は50年だ。ウォルト・ディズニーのコンテンツで世界から十兆円以上の著作権収入を得ているといわれる米国は、この著作権期間をTPP各国に求めている。彼らは、ミッキーの保護が切れる2030年くらいになったら、著作権の期間を100年したいとか言い出すかもしれない。ルーカス、スピルバーグのハリウッドや、世界中で売れるポピュラー音楽コンテンツを擁する米国は、今後も権利ビジネスに手を抜いてくることはない。

 

米国が見据えているのは、人口が10億人を超える中国やインド、2億5千万人にせまろうとするインドネシアなどの国々に対する、「公平」な著作権の使用状況だろう。これだけ商圏が巨大でありながら、アジアは著作権という概念があいまいという国々ばかりという皮肉な現実に米国は苛立っている。パクリ、パチもん、偽物天国。これらの国々が正しく著作権を理解してコンテンツを消費してくれさえすれば、米国の未来は明るい。TPPをきっかけに、アジア全域に米国の権利ビジネスを敷衍させることが彼らのこれからの目的のひとつだ。

 

僕らが夏目漱石太宰治などを無料で青空文庫などで読めるのは、著作権フリーという恩恵に預かっているからだ。古い映画や音楽をパッケージ代くらいで楽しめるのも、作者の権利が切れているからに他ならない。けれども、今回のTPP交渉で米国の著作権期間が各国の共通項目になると、アジアは一方的に米国のコンテンツに支配される。そして、日本の国内問題、小説に限って言えば、もうすぐ著作権が切れる谷崎潤一郎三島由紀夫川端康成などの作家たちの作品が、自由にインターネットでダウンロードするということができなくなる。

 

どうせ安いんだから、ブックオフで文庫を買えばいいじゃん?いえいえ、タダかどうかにこだわっているわけではありません。

 

たとえば、ハンガリーの田舎で、南アフリカの片隅で、日本文学に興味のある少女が、PCさえ持っていれば、膨大な量の近代文学にアクセできるということがインターネット・アーカイブの凄さなのだから。機会が無償で万遍なく存在していること、チャンスが公平であることが共通の財産という意味なのだから。

 

この意味でTPPの「ミッキーマウス保護法」の行方は気になる。