akimof の日記

酔いどれアキモフは、電気羊の夢を見るか?

うつ病の治療は世界を変える?

NHK特集で、うつ病治療の最前線を報道していた。うつ病患者の脳に磁気的な刺激を与えることで症状を改善するというもの。なんだかロボトミー手術のような話しだけれど、紹介していたのは外科的なアプローチではなく特定の部位に磁気を与える手法だ。アメリカではこの療法で劇的にうつが改善している例が多く、日本でも取り入れつつあるという内容だった。

おそらく、こういった脳科学の研究が進むことで、見ることも触ることもできない「心」の問題は、脳の中に現実的に存在する部位に対する刺激によってある程度は改善できてしまう。「心」の見える化とも呼べる治療が続いていくのだろう。

あいまいな「精神」とか「自我」とか呼ばれるものは、脳科学が進めば進むほど、丸裸にされていくのだろうか。憂鬱な考えばかりを披露しているこのブログ主の頭に、磁気テープを巻いて数週間ほど治療を進めることで、何事にも前向きな元気な「心」を保つことができるようになり、周囲に笑顔をふりまけるようになるということか。

「自己」や「自我」と呼ばれる牢獄にとらわれた現代人は、脳科学の発達による物理的な処方が確立されることで、より合理的な思考を選択できるようになり、少しずつ苦悩というものから解放されるていくのかもしれない。

たとえば、エヴァの碇シンジ君。彼も早期に治療を施すことで、彼の住む世界や父親の承認をあれほどまでに希求することはなくなるかもしれない。さらに、まどか☆マギカの主人公たちにも、「自己」や「自我」を犠牲にした世界ルールの書き換えという手段に出なくてすむのかもしれない。

私たちは、誰に命令されたわけでもないのに、自己を確立したがりそれを身近な人や不特定多数の人に承認してもらおうとして生きている。誰も見たことも触ったこともないあいまいな「自己」と呼ばれるものを、実存している前提で話し合う。しかし、うつ病治療の最前線は、あいまいな「心」に物理的な刺激を与えて人のあり方を大きく変化させるものだった。いつでも交換できる自分が存在するという世界は、人々のあり方をさらに別な地平に運んでいく気がする。

遠くない将来に、人の「心」がいとも簡単に書き換えられる日がくるのであれば、世界を支配していくルールを変えていくことができるかもしれない。それが良いことなのかどうかはわからないけれど。