akimof の日記

酔いどれアキモフは、電気羊の夢を見るか?

ものづくりから、夢づくりへ

納得しているようで、実はしていなかったのが「ブランド」のこと。商品に付加される「夢」のこと。

家電メーカーが軒並み巨大な赤字決算を予想しています。確か上位8社中、1社くらいが黒字で、あとは史上最悪の赤字となっているところが多い。そんな決算結果を予想していながらも、多くの声はまだまだいいものを作れば売れる、「ものづくりニッポン」の復活といった、なにやら根性論みたいな話しばかり。

20年以上前から、コモディティ化してきた市場でシェアを獲得するには、製品の善し悪しよりは、ブランドイメージの確立が大切だといわれてきました。「いいもの」「高性能」なものだから確実に売れるわけではないとも言われ続けてきました。もちろん、多機能化や付加価値をつける戦略もどんどん差別化ができなくなってくるので、商品そのものよりも、それがまとう目に見えない「ブランド」価値や物語に注力していかなければいけないという議論がありました。

メーカーサイドも広告サイドも納得していたはずの結果が、この赤字です。そして、メーカーサイドは、いまだ「ものづくり」への執念を捨てきれずにいる。確かにその熱い思いそのものは捨てる必要はないのですが、「ブランド」や「夢」の構築に至っては、本質的には誰も受け入れていなかったのではないでしょうか。

多くの消費者は、家電や携帯電話、ゲーム機、PC関連の商品を選ぶ際に、安くてそこそこのものか、品質よりも少しでも夢の詰まってそうなもののどちらかを選択します。もちろんスペックや機能を穴のあくほど見る消費者もいますが、それは本当にごく少数です。価格ドットコムやamazonでスペックを議論している人たちは、市場リーダー層で人気の指標にはなるけれど、最終的な売上げや販売にはさほどリンクはしてこない層だと思われます。

家電だけではなく、自動車やアパレルなども本質的には同じです。商品がコモディティ化して、差別化がはかれなくなってきたジャンルでは、もはやその商品そのものより、その商品で「どれだけ夢が語れるか」が重要になります。アップルが時価総額で世界一の企業になったのが象徴的です。iPhoneやMacが他の商品よりもぶっちぎりで優れていると思っている人はいません。フェイスブックのシステムが、どのSNSよりも優れていると思っていいる人もいません。それでも彼らは世界一になれる。

ブランドストーリーと神話化とも呼べるイメージの付加作業が、その商品に小さな「夢」を与えて、量的な波及力を生むのです。優れているだけのものは、すぐ次の優れたものにとって替わられる。日本メーカーの商品開発の現場が、「ものづくり」一辺倒のあり方から「夢づくり」へとシフトする時代がやってきたということなのでしょうね。