akimof の日記

酔いどれアキモフは、電気羊の夢を見るか?

「食べログ」問題を考える

身近な話題なので感想をひとつ。「食べログ」のやらせ問題。

我が家はそれなりに外食が多い。そのほとんどが夜飲みとセットなので、居酒屋や飲める食べ物処へ行く。「食べログ」の利用法は、たまに地元の周辺駅へ足を伸ばす時などに、「ああこんな店があるのか行ってみよう」といったもので、銀座などの都心部の有名レストランや食事処を検索してわざわざ食べに行くということはない。

今回の「食べログ」事件は、ランキングや評価がお金で買われていてけしからんということだけれど、インターネット検索におけるSEO対策をやっていることと根本的に何が違うのだろう。タレントによる口コミ効果を狙ったブログやアフェリエイトと何が違うのだろう。これらの背後にも、きちんとお金は動いている。

表現としての広告という体裁をとらず、新聞や雑誌の記事内で商品やサービスを紹介する、テレビ番組内でタレントが話したりドラマの中に商品を映すといった広告手法は古くから使われている。サブリミナルの手法を使ったマーケティングや、いわゆるステルスマーケティングと呼ばれる活動は、今回のこんなわかりやすい事件でなくとも、もっと巧妙に当たり前のように行われている。そもそも、ネット社会の「やらせ」と大騒ぎするテレビ局こそ、通常のCM放送以外でも視聴者を操作するために宣伝と受け取られないような宣伝行為をやっている牙城ではないか。

アメリカのように消費者をだますような企業行為を法的に規制していこうという国もあるが、その線引きはいかにも難しい。ステルスマーケティングであるかどうかの判断は、金銭の授受があるかどうかでしかわからないが、逆に無償のエヴァンジェリストといえども頼まれてやってしまえばそれはひとつの動きになってしまう。

たとえば、たいして美味しくない料理を出しているけれどもそれなりに気のいい店主がいて、その店を利用する人たちが頼まれなくても好意的に書き込みをすれば、その店の評価は高くなる。金銭の授受はないし特別に評価したいわけでなくても、10人程度の消費者の動きで店の評価は左右される。その店主の知り合いにひとりくらい有名人がいて、友人として「いい店だよね」と言ってしまえばそれでその店は人気店になったりするものなのだ。

今回の「やらせ」という報道は、「食べログ」が口コミによる正しいランキングや評価を標榜しているがゆえに「うそだ、騙しだ、詐欺だ」といわれてしまっているだけで、そもそも店の評価など主観的なものであり、金銭授受にかかわらずその操作はいかようにもなることをわかっていれば、大騒ぎしなくても済む話ではないか。もちろん、信用が傷つくといった結果はおきるだろうけれど、それは受け止めてもらわなければいけない。

どうやら消費者庁まで乗り出す事態になってきているし、マスコミもどの口が言っているんだというくらい騒ぎ立てている。ステルスマーケティング全体を議論し規制するならわかるけれど、彼らも自分たちの存続をあやうくするすることになるだろうから、きっと話題はそこへは踏み込ませないだろう。

情報操作する業者が悪玉のような扱いを受け、お店や「食べログ」が被害者のような意見もあるがそれも違うと思う。この問題の本質はお店側が<みだりに>人々の評価を受けたがることと、お客側が<みだりに>他人の基準を信じたがるという点にある。

たかが食い物の話とうそぶくか、食に恵まれない国もあるのにと嘆息するか、お店も消費者も真剣に成熟すべきであると建設的に考えるか、この問題に関する立場の選択肢はいくつもあると思うけれど、ただ政府機関が出てくるような多くの被害者を生んでいるわけではない「しょーもない事案」であることを忘れてはいけないよね。